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大規模なラリック展は1992年に竹橋の国立近代美術館で観た以来。
あのときは激混みだったので今回も覚悟して来たのですが、思ったほどの混み具合ではなく適度な流れで観れました。
末の双子娘は美術館デビューです。ラリックの図録(92年のやつ)を見せたら一緒に見に行くと言うので。ちょうど夏休みだったし、いいタイミングでした。
ラリックの大きな展覧会はいつもジュエリーとガラスの部門に分けられています。
5月に「Story of…」カルティエ クリエイション展を東京国立博物館に観に行ったところだったので、つい比較してしまうんですが、カルティエが贅の限りを尽くした「イギリス王室御用達の超高級ジュエリー」ならばラリックのジュエリーはどちらかといえばアーティスティックな冒険心に満ちた「作品的ジュエリー」。
使われている材料(要するに宝石類)も結構普通のグレードのもの。石のクオリティはカルティエで使われているものとは相当違うんですね。
同じフランスに生きて、ジュエリーを制作する以上、カルティエとは一線を画した作品を作らないと意味を成さないだろう・・・という気概もあったんじゃないでしょうか。宝石の高価さではなく、作品そのもので勝負、みたいな。
だからなのか、初期の作品は情熱に満ちています。
その情熱がガラス制作に移行しても変わることなく、冷たいガラスのはずなのにラリックのガラス作品には体温があるかのよう。
その熱さが、魅力なんだろなあ。
ただ、テーブルウエアの展示ではちょっと「量産品」っぽくなってしまっている感がありましたね。
展示数を削りたくないけど予算がないからこれで誤魔化しちゃえーというような企画側の事情があったんかな。
率直に言えば、前回の国立近代美術館でのほうが「熱い作品」が多くて見応えがあったと思いますが、美術展も不況の影は避けられないんだろうということで、しょうがないです。
国立新美術館でのルネ・ラリック展は終わってしまいましたが、記事のトップ画像の「芥子」は世田谷美術館の「オルセー美術館展 パリのアール・ヌーヴォー9月12日(土)〜11月29日(日)」で出展されるようです。
世田谷美術館は砧公園のなかにあり閑静でいいところなので、散策がてら出かけるのもいいかもしれません。
この記事に対するコメント
ルネ・ラリックは私も大好きです。だもんで、友達の結婚祝いには、その「量産品」テーブルウェアの最たるもの、ワイングラスをよく贈りました。でも、誰も私にはくれない。だから、ホントの量産品で飲んでる(涙)。
>冷たいガラスのはずなのにラリックのガラス作品には体温があるかのよう。
これもよくわかりますね。カタログ見てても、なんとなく「熱い」んです。
王室御用達高級ジュエリーってのなら、私はファブリジェが好きですよ。あの「卵」見てると、贅沢ってのはここまでやんないと意味がないもんで、今時のシグニチャーのバッグなんてああ貧乏臭くて嫌とか思ってしまいます。こう言っておくと、貧乏人の負け犬の遠吠えとしても聞こえがいいし(笑)。
私は来週辺り、京都の「THEハプスブルグ」に行って来ます。まあ売り方が、とても「いやんな感じ」で、善男善女がどっと繰り出して鬱陶しそうなんですが、肖像画まとめて観るには便利なんで仕方ないかと。
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします♪
ルネ・ラリックのワイングラスを贈るのは素敵ですね。美術館に置かれていると他の出品物に気圧される感じのラリックのテーブルウエアでしたが、家にあるとかなり贅沢な品物には違いないわけで、私も使ってみたい(笑)
>ファブリジェ
あの卵はいかにも王朝のお抱えって雰囲気がゴージャスですね〜 あそこまでやると贅も意味があると思えます。
工芸が寂れてしまうのはやっぱり経済的なものが大きく左右するなあと最近の不況と照らし合わせて実感したりして。
「THEハプスブルグ」は確かに売り出しかたが俗っぽかったですね。チラシも貰ったし、観に行くかどうか迷ったのですが、結局行きませんでした・・・。
キュレーターさんたちもああいう営業を好んでいるわけではないと思うのですが(汗)