井上雄彦 最後のマンガ展 会期終了間際に観に行ってきました。
っていうか、もう1ヶ月近く前のことですが。遅筆でレポ上げるのが遅くなってしまった・・・何だか時期はずしてますが、最近えらく文章書きに時間かかるのでご容赦を。
この展覧会をやるというのは、今年の春先くらいから知ってはいたのですが、実際に観に行けるかどうかわからなかったので前売り券を買わないでいたら、これが大失敗。
上野で久しぶりにみっちぃさんとお会いしたとき、当日券で観に行こうとしたのですけどね、10時半に会場前に行くと「当日券購入整理券」なるものを配布しており、それが何と「16時から18時に購入しにきてください」というモノ(汗)
それでもまだ整理券を貰えただけラッキーなほうで、その30分後には整理券の配布も終了してました。11時過ぎに美術館に着いたひとは当日券を買う事もできないという。
しかし、その日は17時過ぎには帰宅しなくてはならなかったので、結局自分の分の当日券を夕方に買って帰り、翌日に再度出直し。
いやー、とにかくこの人気ぶりはすごい。美術館前というよりもどこかのライブハウスの前のような人出と行列でした。
修学旅行で上野を訪ねた中学生のグループも「あの・・・今から並んで実際に観られるのは何時頃なんでしょうか・・・?」と係員のひとにおずおずと訊いていましたが、入場は6時くらいになるのではないかと言われ、「じゃあ、これを観るのは無理だね・・・違う美術館に行こうか・・・」としょぼくれて立ち去っていました。あれはかわいそうだったな・・・。
前置きのほうが長くなりましたが本題。
これだけ当日券GETが困難なのは「入場規制」をしているからなんですね。押すな押すなの混雑では作品を満足に観られないだろうという作者の意向により、会場内を一定の人数で保とうということのようです。
その甲斐あってか確かに会場内はほどよい空間で、昔観た大混雑の「ルネ・ラリック展」などよりも全然見やすかったですね〜。
入場のために並ぶのは大変だけど、鑑賞する環境がいいのでその苦労も報われるというものです。
マンガという媒体を使って、美術館全体をインスタレーション作品に仕立ててあるので、この作品展は他の美術館に巡回展示させるのは不可能に近いんだろうな。
壁面の具合や空間感も最大限に利用して描かれていて、ひとつの物語を美術館で構成してある・・・1点1点の作品をを個別に陳列している美術展と違って、その空間を作家の世界観で支配しているという点では、昔観た
ジョナサン・ボロフスキー展を思い出しました。
それにしても井上さんはマンガの連載をお持ちのうえでこちらの制作も手がけていたわけで、そのエネルギーとバイタリティには脱帽です。
実家から遠くない距離に
久保惣記念美術館という、こじんまりした美術館があり、以前はよく母と一緒に出かけていました。
そこには宮本武蔵作の水墨画「
枯木鳴鵙図」が所蔵されていて、私はそれを眺めるのが好きだったんですね。
絵師を生業とするひとの絵と、ちょっと雰囲気が違うと言うか、求道者的な筆致で描かれていて。ある世界を極めたひとは、視線も世の中を超越しているんだなあと思えた作品でした。
井上氏の作品も、その雰囲気に近くなりつつある気がします。
弛まぬ求道精神が多くの読者を魅了するんでしょうね。